2025 01,29 08:12 |
|
2006 04,12 01:04 |
|
この春から長女が小学校に通い始めました。幼稚園の頃から少しずつひらがなを練習していたのですが、ある程度わかるようになってくると、いろいろと疑問が出てくるものです。
先日も、ぱ行に用いる「半濁点」はなぜ○を書くのか、という話題になりました。尋ねられてしまうと、小学一年生相手に、馬鹿正直に答えてしまうのが私の性分です。 というわけで、半濁点はなぜ○を書くのかですが、昔は清音に不濁点(濁音ではないことを表す記号)として、右上に○を一つ書いていたのですね。そして、濁音は右上に○を二つ書いていました。この○二つは、やがて簡略化されて点二つになり、それが現在の濁点になっています*1。 半濁点は、もともと不濁点だったわけですが、では、ぱ行は清音なのでしょうか? 実は、日本語の発音というのは、時代とともに結構変化しているんですね。平安期から鎌倉期にかけては、母音の発音は旧仮名遣いそのものでした。「今日(けふ)」は、大雑把にいうと、鎌倉期に「けう」になり、室町期になってやっと「きょう」になるんですね。 母音の変化は旧仮名遣いからある程度想像が付くのですが、子音の変化はなかなか分かりません。中国人が音訳したものや、ポルトガルの宣教師が書いた文献などをもとに、いろいろ研究されているようです。そして、どうやら、は行の子音は、大昔は [p] 音だったようなのです。それがやがて、[F] 音(現在の「ふ」の子音)になり、江戸後期に [h] になったようなのです*2。室町期のなぞなぞで、「母には二度あいたれど、父には一度もあわず」というのがあり、その答えが「唇」ということなのですが、 [F] 音で発音していたのであれば合点がいきます。おそらく、古代には [p] 音で発音していた「は行」は、中世に入って [F] 音に変化したわけですが、漢語を発音する上で、再び [p] 音が復活し、それが「ぱ行」になったものと思われます。例えば、「海」という字の音読みは「かい」ですが、元の子音は [x] 音(ドイツ語の Buch の ch や、スペイン語の j と同じ音)だったものと思われます。そして、上代から古代の日本語には [x] 音も、それに近い [h] 音もなかったため、[k] 音が当てられたものと思われます。それが後の時代になると、日本語に [h] 音が現れていたこともあって、「上海」のように「はい」と音読みするようになったのでしょう。妻は、それなりに興味深そうに説明を聞いていましたが、長女にはチンプンカンプンだったようです。こんな内容を小学一年生に説明するには、一体どうすればよいのでしょうね。 *1 実際には、点を三つまたは四つ書くケースもあったようです。 *2 正確には、「ひ」の子音は [ç] (ドイツ語の ich の閉子音と同じ音)ですし、「ふ」の子音は [F] になります。PR |
|
コメント |
コメント投稿 |
|
trackback |
トラックバックURL |
ソフトウェア開発 ホームページ制作 はんこ 忍者ブログ [PR] |