今から35年ほど前、御多福会と名乗る新興宗教が、「お守り」と称して偽札を大量にばらまく事件がありました。その結果、通貨がダブつき、ものすごいインフレに見舞われました。挙句、一家心中や強盗などが頻発し、日本国内は大混乱に陥りました。

実をいうと、これは実際に起こった事件ではなく、「レインボーマン」に登場する死ね死ね団が仕掛けた、いわゆるＭ作戦と呼ばれるものです。「死ね死ね団のテーマ」の歌詞に出てくる「金で心を汚してしまえ！」というのは、まさにこの作戦を指しています。

なぜ、今になってこんな古い話を持ち出すかというと、近頃、世間を騒がしている「円天」なる電子マネーにまつわるトラブルを見ていると、今の日本でＭ作戦を実行すれば、35年前以上に大混乱になるのではないかと考えたからです。

もちろん、35年前と同じように偽札をばらまく方法そのままでは、なかなか成功しないでしょう。しかし、Ｍ作戦を現代風にアレンジすることはいくらでもできますし、おそらく、35年前より、現代の方がうまくいくような気がしてならないのです。

そしてもう一つ。激しいインフレを起こして日本中を大混乱に陥れることは無理でも、電子マネーという偽札を使って、人々の心を汚すだけなら簡単なことです。

これが、浅はかなマルチ商法として行われているうちは、すぐに破綻するので被害は少ないのかもしれません。しかし、死ね死ね団のような組織が、日本壊滅を意図して行ったとすれば、想像しただけでも恐ろしいことです。そして、それは必ずしも荒唐無稽な話ではないのです。